金子にとっての自分らしい暮らしと、デザイナーだからこその家づくりについて話を聞きました。
動画でのインタビューもご一緒にぜひご覧ください。
今回、この物件を選んだ決め手は?
「エリアと、日当たり、建物の管理状況が良かったことが決め手になりました。
もともと賃貸で住んでいたエリアがすごく気に入っていたので、
そのエリアで探すか、実家に近いエリアで探すか2軸で探していたんですよね。
将来のことを考えると、広さもある程度欲しくて。あとは角部屋ということも大きかったですね。
新築の注文住宅も考えたのですが、検討しているエリアはアクセスが良い場所なのでそこで予算を考えたときに、
自然と中古+リノベーションという選択になりました。
この物件は南側が川沿いなので日当たりが本当にいいですし、今の季節は桜も見えてバルコニーからお花見できるんです!
椅子を出して楽しんでいます。
なぜ、既存の間取りを活かすことにしたのでしょうか?
この物件は、購入の1年前にリフォームされていたんです。
状態が良かったので、このまま使えそうな部分は残したいなと思って購入を決めました。
既存の間取りも悪くなかったのですが、生活動線を整えるための部分的な変更は行いました。
具体的には納戸を玄関と繋げてシューズインクローゼットにしたり、トイレを洗面室からアクセスできるようにしたり、
リビングに隣接した洋室には窓と開口だけ設ける事で開放感と籠もり感のバランスをとったり。
小さな工夫で最大限の豊かさを得られるよう設計したつもりです。
キッチンやお風呂などの設備は既存のものを利用しています。
それ以外の部分で予算と相談しながらどのようなデザインにしていくか考えていきました。
デザインではどこを工夫しましたか?
変えられる部分と変えられない部分のバランスを大切に考えました。
もともと床の『カーペットを変えられない=フローリングを使えない』という条件があったので、
それを中心に全体のデザインも考えていきました。
床に木を使えない分、壁面に木材を貼る選択をしました。
木目が美しく家具などにも使われる良質なシナベニヤの合板を使ったのが二人のこだわったところです。
玄関からリビングにかけて続くシナベニヤの合板、この割りつけが大変でした。
何パターンも図面を書いたりして、夫婦で何度も話し合って(笑)やっと納得いく形でまとまりました。
私個人としては、結果的に実家の内装の雰囲気に近いものとなり、生まれ育った住まいから受ける影響の大きさを改めて感じました。
どこか懐かしさを感じて、すごく気持ちが落ち着きます。
あとは、家具もこのタイミングで買ったものも多いですね。
テレビは置かずに、プロジェクターを置きたいというのもこだわりでした。
そのために照明も変えましたがダクトレールと露出配管のレイアウトは特に夫がこだわって、
電気屋さんが綺麗に施工してくれたので満足しています。希望が実現できて嬉しいです。
あとは、二人とも靴が好きということもあって、玄関の収納は見せる収納にしたいというのは決めていました。
そういった、絶対にこれはやりたい!といった部分から決めていったのもデザインを決めるポイントになっています。
今までデザイナーとして経験してきた中で優先順位を整理するということが大切だと感じているので、それを活かしながら考えていきました。
金子さんにとって自分らしい暮らしとは
とても悩みましたが、現時点での答えとしては『居心地の良さ』なのかなぁと。
何時間でもゆっくり過ごせるような居心地がそこにあること、それが自分らしい暮らしかなと思いました。
デザインとは使いやすさ(機能性)と見た目(意匠)をマッチさせる事でもあるのですが、
この2つを丁寧にコントロールしながら、
クライアントには『何か分からないけど、居心地が良いな』と思ってもらえる空間をつくれたら設計者冥利につきますね。
今回は私自身と夫がクライアントなので笑、自分たちらしさを深く考える良いきっかけになったかもしれません。
普段、デザイナーの仕事をしていますが、実際に今回自分自身が物件探しから進めていく中で、
初めてのことやわからないことがたくさんありました。
改めて人生の大きな出来事に関わっている責任を感じました。
表面的な部分をデザインしてお洒落にするだけでなく、
暮らしに合わせて動線を変えてライフスタイルの質を上げることができるのがリノベーションのいいところだと思います。
デザインの希望を汲み取りつつ、ライフスタイルを豊かにしていく楽しさを
いろんな人に味わっていただくお手伝いをしていきたい思っています。